チェンジ‐ため息の行方
 すると突然に
「昂、俺ちょっくらトイレに行って来るわ!」
 と谷崎は言うと椅子から立ち上がった。

「ああ」
 と谷崎のその言葉に桐島は相変わらず回りの景色に目をやりながら短くそう応えた。

 するとコーヒーのカップを手にして景色を見つめていた桐島の視界の先に、ふっとある一人の若い女性の姿が目に留まった。その女性はやや青白い顔をしてはいるがかなり美人の部類に入る女性だった。

 とその時コーヒーを飲み終えた紙カップが載った白いトレイを所定の場所に戻すためか、その若い女性はおもむろに椅子から立ち上がってゆっくりと歩き出した。
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