チェンジ‐ため息の行方
「ああ。あの男のアパートはそうとうボロくって年季が入っていそうだった。だから多分生活は苦しいだろうな。と容易に予測出来たね。なのに生まれたばかりの赤んぼうがいるんじゃ、あの赤んぼうの将来は目に見えているなと俺は思ったね。つまりあの赤んぼうの前途は相当暗いかも……」
 と谷崎はやや同情気味に言った。

 そして
「そうか……」
 と言ったきり桐島は黙りこんだ。

 谷崎の報告を聞きながら『ふむ。ボロアパートに住む子供と豪邸に住む子供とのチェンジか……』と桐島は心の中で静かに呟いた。
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