“俺様”大家の王国
小さくも大きくもない声量。
聞いた事のない、けれどとても穏やかで、それなのに少し物哀しいメロディー。
これは、新しい曲だろうか。
奈央は密かにミエロを観察していた。
さっきまで眉間に寄っていた皺は、今やきれいに無くなっている。
でも、集中しすぎて無表情というのでもなく、時々ちょっと、口元に笑みなんて浮かべながら、
嬉しそうに歌っている。
いつもそうしていれば、もっといい人に見えるのに。
誰もいないところでしか、こんなふうに出来ないの?
……センシティブって、訳分かんねえな。
要するにこの人は、天の邪鬼な照れ屋なんかい……。
しばらくそうしているうちに、曲は一応の終わりを見せた。
ミエロが気付いたのだ。