“俺様”大家の王国



「ほらー、誰もいないでしょ……?」


「……おかしいなー」
 
例によって、みっちー先輩と光太郎の会話。
 
しばらく、物が動いたり、戸棚を開けるような音が聞こえてきた。

……探してるんだ。私を……。


「あのー、ここ一応、関係者以外立ち入り禁止なんで、そろそろ……」

 
みっちー先輩が切り出すと、光太郎は思い付いたように言った。


「――そこの、窓は?」
 

ぎくり!


「……やっだぁ! ここ何階だと思ってるんですかぁ? 

大体、その窓はレールが錆びてるから、簡単には開かないんですよー?」


(みっちー先輩、ナイスフォロー!)


「……ふーん」
 

少し遅れて、しかし渋々納得したように光太郎が返事をした。

程なくして標本室のドアの音が聞こえ、二人の気配は消えた。


(……ふー、やれやれだぜ)
 

私は、いい加減指が痺れてきたので(窓の桟につかまっていた)、

非常階段のあるスペースを見た。


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