“俺様”大家の王国
「せやっ」
私は、手を放した。
今度は、故意による落下だ。
すると、下にいた十郎さんが、がっしりと抱きとめてくれた。
線が細く、いかにも骨折しそうな彼の腕は、意外にも力強かった。
「……げほっ」
真正面から十郎さんにぶつかり、私は肺に感じた衝撃に咳き込んだが、彼は平気なようだった。
泣きそうな顔で私を見たかと思うと、私を抱える手にぎゅうっと、力が籠った。
余計苦しい。
「……どうしたんですか?」
咳が治まってから訊くと、
「どうしたもこうしたもないですよ!
ちくしょう……」
そして珍しく私は、十郎さんに怒られたのだった。