“俺様”大家の王国
「……やっぱり……」
「え?」
「やっぱり……来てよかった……」
「そういえば、何で今日、十郎さんがここにいるんですか?
私、文化祭だって言いませんでしたよね?」
口元を拭うと、十郎さんは語り出した。
「先日……弟が、うちに来ました」
「うちって?」
「あのマンションですよ。
どうやら、奈央さんを探しに来たみたいで……」
「え! 何で私があそこにいるって、ばれたんだろ……十郎さんまさか」
「喋ってませんよ。
……でも偶然、気付いたみたいです」
十郎さんはわざとらしい咳をして、続けた。
「……それで気になったんで、さっき弟の家に行ったんですよ。
そしたら、机の上にどこかの大学の、文化祭のパンフレットがあって……」
それで、十郎さんは慌ててここに来たらしい。
「ただ、一般客が入っちゃいけない学園祭とかあるじゃないですか?」
「え、あるんですか? そんなの」
「ええ、入場がチケット制とか……まあ、いいです。
もし、今回のもそういうのだったらどうしようと思って……」
「裏門から忍び込んできたわけですか?」
「はい。そしたら、白いものが視界に入って、上を見たら……」
「私だった……って、わけですか」