“俺様”大家の王国



「……俺は、別に自分が可哀想だとか、思ってないよ。

だって体中に、結構ありえないくらい、傷とかあったからね。

火傷とか、刃物で切られたっぽいのとか。

天気の悪い日は、関節も痛む。

捻ったり骨折したりした事があったんだと思う。

きっと、これまで普通じゃない事してたんだろうな……」
 
そう答えた小林君の方こそ、泣きそうな顔をしていた。
 
しかしふと、彼は笑った。


「……でも、全部覚えてない。

だから、今は平和だって思えてる。

何でも無い今が、『本当の幸せ』だと思ってる……」
 
私は、頭を抱えつつ、平静を装った。

「そうですか……っぶしゃん!」

 
しかし、その拍子にくしゃみが出た。

被ったお湯は、あっという間に水になってしまった。
 

特に暖房も入れていない十一月現在。
 

……寒い。


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