“俺様”大家の王国



「せっかくシリアスな雰囲気になってたのに~……」
 
小林君は、さっきのように口を尖らせて、不満げに呟いた。

「うるさいですよ。

ってか、小林君のせいですから……っぐしゃん!」
 

シャワーが当てられたのは、ほんの数秒だが、床は水浸しになっていた。

しばちゃんが、水たまりに興味津津で前脚を突っ込んでみたり、引っ込めたりを繰り返している。

犬って、水嫌いじゃないのかな。


「あはは。水も滴るいい女だね。

どうせなら、今ここでシャワー浴びてっちゃえば? 

お湯も今、丁度良い温度だし♪」


「なに馬鹿な事言ってるんです! 

着替え無いし、嫌ですよ。大体ここ……」
 
……十郎さんの部屋じゃないですか。
 

本来なら、こうやって他人が自由に出入りしたり、部屋の中の物を好き勝手に扱うなんて、ありえない。


「まあ、強制はしないさ。

早く着替えておいでよ。風邪引かないうちに」


「まったく! 

よくもまぁ、いけしゃあしゃあと……」

「本音出てるよ」

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