母の心音(こころね)
「四月三十日、この日が待ちどうしくてな、主人と二人で東京の次男の家と末娘に会いに行く予定やった。主人は仕事の都合で行けなかったけど、一人で行ったんや。末娘に頼まれておったミシンと竹の子を持ってな。そりゃもう、重い荷物で、心配やった。駅までは主人が送ってくれたんで良かったけど、汽車に乗ってからの事が心配でな。そしたら、隣に乗り合わせた若い男の子が親切にしてくれて、東京まで一緒やった。本当にうれしかった」



東京に
一人旅立つ夜汽車にて
頼りに思う隣席の人



「夜汽車やったんで、東京に着いたのは五月一日や。次男が東京駅まで迎えに来てくれて、電車に乗ったんや。電車の窓から見える太陽は、真赤でな、すがすがしい気分やった」



朝の五時
夜汽車の旅の夜は開けて
真っ赤な太陽の東京の朝

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