母の心音(こころね)
「七月四日、大阪の世界万国博覧会へ行くんや。それに備えて、身体の疲れをとるために病院へ行ったんや、何時ものように学校の横を通ってな。そして何時ものように、ポプラ並木を眺めるんや、四人の子供等が育った学校やでな。あの当時のことを思うと、そりゃもう、懐かしくてな。今は子供等は居らんけど、当時と同じように緑の葉を繁らせてな。ポプラ並木を見るたびに、心の中にしみいるんや」



四人の子等
学び育ちし学び舎の
なごり残すやポプラ並木が



「七月六日、万国博覧会へ行く日や。本当は、主人が役場や森林組合の人たちと行くんやけど、一緒に連れてってもろたんや。毎日あれやこれやと思い沈んで、山坂を登るような人生やけど、大勢の人に囲まれてな。それに主人も一緒やろ、そりゃもう、楽しい一日やった」


にちにちの
長き月日の山坂も
幸せに満ちる今日の一日
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