母の心音(こころね)
「二月十七日、今日も主人は医者に行ったんや。神経痛が悪いんでな。雨が降っておって仕事もできんし、独りでコタツに入って居ったんや。家の中はそりゃ静でな、シーンとしとるんや。時計の音だけが生きとるように、コチコチと聞こえてな。そうや、この柱時計な、嫁に来た時からあるんや、もう四十年も経つな。一時も休まずにコチコチ動いて居るんや。そう思うとな、あれからずーっと、自分の過去が刻み込まれておるようでな。これからもずーっと一生を刻み込まれるように思えてな、柱時計を眺めたんや」
コチコチと
たゆまず時を刻む音
幾月年を我が身と共に
コチコチと
たゆまず時を刻む音
幾月年を我が身と共に