母の心音(こころね)
「今日はもう三月三日や、時の経つのは早いな。外は雨で、主人は組合の用事で居ないんや。今日も独りコタツに入って、末娘のことが心配でな、考え込んで居ったんや。他の子は結婚して幸せや、末娘だけや、結婚できるやろかって、そりゃ心配でな。今日もな、コチコチと容赦なく時を刻む時計の音が気になってな。一日でも早よう幸せになるようにって思ってな。そりゃもう、時計の音が急き立てるように聞えて、体を突き刺すように聞えるんや。どうすることもできんけどな」
今日も雨
末娘子を案ずれば
身にしみ入るる時刻む音
今日も雨
末娘子を案ずれば
身にしみ入るる時刻む音