母の心音(こころね)
「六月七日、今日は隣の家の田植えでな、近所の人が大勢来て植えたんや。そりゃもう賑やかでな。久しぶりに人に会ったようでな。朝から大雨でな、だけど田植えは時期があるんでな、大雨でも休めんのや。昼過ぎに雨も上がって、心地よい日がさしてな、周りは若い人で、年寄りは独りやった。若い人に取り囲まれて、仲間に入れてもろたんや」



雨は止み
風爽やかな初夏の野に
田植えの組に我も加わり



「六月十日やった。家に電話が置かれたんや。最初にな、長女から電話があってな。それから次から次へと、次男と末娘に電話したんや。電話の向こうから懐かしい声が聞こえるんや。次男のとこへかけたときにな、嫁の声も聞けたし、孫の声も聞けたし、そりゃもう、今日は格別な日やった」



わが家にも
やっと電話が設置され
家で味わう子等の呼び声

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