魔法の指先
『はい、お願いします』
私は待合室を出て、個室でネイルアートをしてもらうことになった。
小さなシャンデリアが吊るしてあるその部屋で他愛ない話をしながら過ごす。完成したのは丁度1時間が過ぎた頃だった。
「はい、出来ました」
アートされた爪は白と黒のシンプルなフレンチネイル。私好みのシックな仕上がりに出来ている。
流石、ネイリスト。
『ありがとう、滝さん』
「いいえ、お安いご用ですよ」
微笑む彼女の笑顔は太陽のように暖かだった。
彼女の名前は滝 葉子。アッシュベージュの長い髪をいつも1つに束ねているおしとやかな女性。垂れ目がちな瞳が愛らしい。
個室を出て再び待合室に戻るが、義人さんはまだお客さんの髪をカシャカシャと切っていた。
彼は柊 義人。この[ARERS]のオーナー兼店長。25歳というその若さで成し遂げたそれに私は感心する。女性客に絶大な人気を得ていて、その腕はどこか人目を惹く。
段々になった黒髪に奥二重の小さな瞳、スッと鼻筋の通ったその甘いマスクも人気の1つだ。カジュアルな服装もよく似合っている。
「心亜ちゃん!」
と、そこへ注目の人物が駆け寄ってきた。義人さんだ。
『義人さん』
「ごめんね、待たせちゃって」
『いいですよ、私は予約してないですし』
「もう少し、待ってくれる?後、お見送りだけだから」
『はい』
義人さんは待合室から出ていったが、すぐにまた戻ってきた。
「お待たせ、行こうか」
『はい』
私が立ち上がると彼は速やかにエスコートしてくれた。そして、そのままVIPルームへ向かう。
VIPルームは特別な、所謂お得意様しか利用出来ない個室。シックで落ち着いた雰囲気の部屋で私は気に入っている。
「今日はどうする?」
椅子に座ると、鏡越しに義人さんは優しく問い掛ける。
『お任せします』
「了解。ちょっと髪、スカしてみようか。大分重くなってるみたいだし」
フワッと私の髪に触れながら言った。
『お願いします』
義人さんは腰に巻きつけている数種類の鋏の中から1つを選び、それを手中に収める。そして、移動が自由なローラー椅子に腰掛けて、カシャカシャと鋏を動かし始める。
相変わらず綺麗な鋏捌きだ。
.
私は待合室を出て、個室でネイルアートをしてもらうことになった。
小さなシャンデリアが吊るしてあるその部屋で他愛ない話をしながら過ごす。完成したのは丁度1時間が過ぎた頃だった。
「はい、出来ました」
アートされた爪は白と黒のシンプルなフレンチネイル。私好みのシックな仕上がりに出来ている。
流石、ネイリスト。
『ありがとう、滝さん』
「いいえ、お安いご用ですよ」
微笑む彼女の笑顔は太陽のように暖かだった。
彼女の名前は滝 葉子。アッシュベージュの長い髪をいつも1つに束ねているおしとやかな女性。垂れ目がちな瞳が愛らしい。
個室を出て再び待合室に戻るが、義人さんはまだお客さんの髪をカシャカシャと切っていた。
彼は柊 義人。この[ARERS]のオーナー兼店長。25歳というその若さで成し遂げたそれに私は感心する。女性客に絶大な人気を得ていて、その腕はどこか人目を惹く。
段々になった黒髪に奥二重の小さな瞳、スッと鼻筋の通ったその甘いマスクも人気の1つだ。カジュアルな服装もよく似合っている。
「心亜ちゃん!」
と、そこへ注目の人物が駆け寄ってきた。義人さんだ。
『義人さん』
「ごめんね、待たせちゃって」
『いいですよ、私は予約してないですし』
「もう少し、待ってくれる?後、お見送りだけだから」
『はい』
義人さんは待合室から出ていったが、すぐにまた戻ってきた。
「お待たせ、行こうか」
『はい』
私が立ち上がると彼は速やかにエスコートしてくれた。そして、そのままVIPルームへ向かう。
VIPルームは特別な、所謂お得意様しか利用出来ない個室。シックで落ち着いた雰囲気の部屋で私は気に入っている。
「今日はどうする?」
椅子に座ると、鏡越しに義人さんは優しく問い掛ける。
『お任せします』
「了解。ちょっと髪、スカしてみようか。大分重くなってるみたいだし」
フワッと私の髪に触れながら言った。
『お願いします』
義人さんは腰に巻きつけている数種類の鋏の中から1つを選び、それを手中に収める。そして、移動が自由なローラー椅子に腰掛けて、カシャカシャと鋏を動かし始める。
相変わらず綺麗な鋏捌きだ。
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