魔法の指先
「心亜ちゃん、最近どう?仕事」
『え?……まあ、順調です。義人さんは相変わらず忙しいそうですね』
義人さんが暇そうにしてるところなど、見たことがない。経営者なのだから、当たり前かもしれないが。
「心亜ちゃんには負けるって。俺、ちゃんと寝る時間あるし」
『私も寝る時間くらいありますよ』
確かに一時期、寝る暇もないくらい忙しかった時があった。けど、それは春がマネージャーにつく前の話で、今は彼のおかげで睡眠時間はたっぷり取っている。
感謝してもしきれない。
「それでも、5歳の頃からずっとモデルやってるんだ、凄いよ。簡単に真似出来ることじゃない」
『そんなんじゃないです。私にはただそれしか術がないから……』
他に自己主張する術が見つからない。ただそれだけ。凄くもなんともない。
義人さんはそれ以上何も言わなかった。黙々と髪を切り続ける音だけが私の耳に届く。
閉店時間を過ぎたというのに焦ることなく丁寧にカットしていく義人さん。シャンプー、トリートメント、ブローも全てしてくれて終わった頃には外は真っ暗で従業員も数人しか残っていなかった。
「お金はいいよ、もう店閉めちゃったし」
『そんなわけにはいきません』
と、私は財布から1万円札を3枚取り出し、それを義人さんに渡した。彼はその3万円を渋々受け取ってくれた。
「夜、遅いし送るよ」
『いつも、すみません』
私は彼に対して申し訳なさと嬉しさが見え隠れする。いつも必ず家まで送ってくれ、私の心を踊らせる。トクン、トクン、と高鳴る胸の鼓動は止まらない。
私が彼に惹かれ始めたのはいつだっただろうか?多分初めて会ったあの時から………。
モデル・秋山 心亜としてじゃなく、秋山 心亜という小さな女の子として見てくれた初めての人。
あの時のことはよく覚えてる。大袈裟かもしれないが、泣きそうなほど嬉しかった。
「いいって、夜道を1人で歩かせたら世の心亜ちゃんファンに怒られちゃうし」
などと、冗談めいた言葉を言いながら従業員専用の駐車場まで一緒に歩いた。
鼻唄を歌いながら私の数M先を歩く彼。
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『え?……まあ、順調です。義人さんは相変わらず忙しいそうですね』
義人さんが暇そうにしてるところなど、見たことがない。経営者なのだから、当たり前かもしれないが。
「心亜ちゃんには負けるって。俺、ちゃんと寝る時間あるし」
『私も寝る時間くらいありますよ』
確かに一時期、寝る暇もないくらい忙しかった時があった。けど、それは春がマネージャーにつく前の話で、今は彼のおかげで睡眠時間はたっぷり取っている。
感謝してもしきれない。
「それでも、5歳の頃からずっとモデルやってるんだ、凄いよ。簡単に真似出来ることじゃない」
『そんなんじゃないです。私にはただそれしか術がないから……』
他に自己主張する術が見つからない。ただそれだけ。凄くもなんともない。
義人さんはそれ以上何も言わなかった。黙々と髪を切り続ける音だけが私の耳に届く。
閉店時間を過ぎたというのに焦ることなく丁寧にカットしていく義人さん。シャンプー、トリートメント、ブローも全てしてくれて終わった頃には外は真っ暗で従業員も数人しか残っていなかった。
「お金はいいよ、もう店閉めちゃったし」
『そんなわけにはいきません』
と、私は財布から1万円札を3枚取り出し、それを義人さんに渡した。彼はその3万円を渋々受け取ってくれた。
「夜、遅いし送るよ」
『いつも、すみません』
私は彼に対して申し訳なさと嬉しさが見え隠れする。いつも必ず家まで送ってくれ、私の心を踊らせる。トクン、トクン、と高鳴る胸の鼓動は止まらない。
私が彼に惹かれ始めたのはいつだっただろうか?多分初めて会ったあの時から………。
モデル・秋山 心亜としてじゃなく、秋山 心亜という小さな女の子として見てくれた初めての人。
あの時のことはよく覚えてる。大袈裟かもしれないが、泣きそうなほど嬉しかった。
「いいって、夜道を1人で歩かせたら世の心亜ちゃんファンに怒られちゃうし」
などと、冗談めいた言葉を言いながら従業員専用の駐車場まで一緒に歩いた。
鼻唄を歌いながら私の数M先を歩く彼。
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