pp―the piano players―
 薄茶色の子犬が、芝生の緑の上でくるくる回ったり、くぅーんと甘えた鳴き声を上げたり、転げたりしている。可愛らしい様子が目に浮かぶ。

 弾き終えた先生と目が合う。想像を楽しんでいたわたしの口元は緩んでいて、きっとみっともない顔をしていたんだろう。
 先生が右手を上げ、そのままわたしは抱きしめられてしまった。先生の綺麗な黒髪が頬に当たり、ひんやりとする。

「先生?」

 細い腕には適度な力が込められていて、わたしは動けない。ううん、先生に抱きしめられるなんてとても嬉しくて、動きたいなんて思わなかった。

 先生はその格好のまま、悲し気な声で聞いた。荷物をまとめて、どうするつもり?
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