pp―the piano players―
「別の演奏会のチケットがあるの」
「うん」
なぜか、酒井君が息を止めた。そう思った。
「先生の演奏が終わったら、すぐに移動しないと間に合わないんだけど」
そこから先の言葉に詰まる。誰の、とか、どこで、とか。そういうことを言わないといけないのに。
酒井君の優しい笑顔が思い浮かぶ。それから、視界の端にある若葉色の封筒が、急に存在感を持ち出した。圭太郎君にじっと見つめられているような、そんな胸の苦しさを覚える。
そして、電話の向こうで空気が緩んだ。
「そうだね」
え。と、わたしは声を漏らす。
「三時開演だからね、山手線で十分、駅からまた十分歩くから、結構ギリギリだよね」
「うん」
なぜか、酒井君が息を止めた。そう思った。
「先生の演奏が終わったら、すぐに移動しないと間に合わないんだけど」
そこから先の言葉に詰まる。誰の、とか、どこで、とか。そういうことを言わないといけないのに。
酒井君の優しい笑顔が思い浮かぶ。それから、視界の端にある若葉色の封筒が、急に存在感を持ち出した。圭太郎君にじっと見つめられているような、そんな胸の苦しさを覚える。
そして、電話の向こうで空気が緩んだ。
「そうだね」
え。と、わたしは声を漏らす。
「三時開演だからね、山手線で十分、駅からまた十分歩くから、結構ギリギリだよね」