pp―the piano players―
「演目は? チラシにも何も書いていないね」
先生は、ベートーベンのソナタとピアノ協奏曲を演奏する。加瀬さんから貰ったパンフレットに、それは書いてある。先生の紹介文は俺が書いたんだ、とそこを指して自慢していた。
「早紀、何か聞いてないの?」
曲目はチケットにも記載されているよ、と加瀬さんが言っていた。ベートーベンの最後のソナタなんだ、とも教えてくれた。
「吉岡圭太郎から」
圭太郎君の名を口にした酒井君の声が少し、ぶれた。
***
「お前らは付き合っているのか」
と圭太郎君に聞かれたことがある。あの夏休み、酒井君が帰った後のことだ。
わたしは首を横に振った。圭太郎君は、そうか、と言って楽譜を開く。ベーゼンドルファーで『月光』の第三楽章を弾き始めた。
「やめてよ」
わたしは慌てて圭太郎君の前から楽譜を取り上げた。
「わたしが弾くんだから」
「はいはい」
圭太郎君は意地悪な笑みを浮かべて、椅子から立ち上がる。
「頑張れよ」
わたしの頭をポンと叩いて、部屋を出て行った。
***
先生は、ベートーベンのソナタとピアノ協奏曲を演奏する。加瀬さんから貰ったパンフレットに、それは書いてある。先生の紹介文は俺が書いたんだ、とそこを指して自慢していた。
「早紀、何か聞いてないの?」
曲目はチケットにも記載されているよ、と加瀬さんが言っていた。ベートーベンの最後のソナタなんだ、とも教えてくれた。
「吉岡圭太郎から」
圭太郎君の名を口にした酒井君の声が少し、ぶれた。
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「お前らは付き合っているのか」
と圭太郎君に聞かれたことがある。あの夏休み、酒井君が帰った後のことだ。
わたしは首を横に振った。圭太郎君は、そうか、と言って楽譜を開く。ベーゼンドルファーで『月光』の第三楽章を弾き始めた。
「やめてよ」
わたしは慌てて圭太郎君の前から楽譜を取り上げた。
「わたしが弾くんだから」
「はいはい」
圭太郎君は意地悪な笑みを浮かべて、椅子から立ち上がる。
「頑張れよ」
わたしの頭をポンと叩いて、部屋を出て行った。
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