pp―the piano players―


 客席の照明が絞られて、代わってステージ上へ真っ直ぐな光が差す。スポットライトの先にはピアノと椅子があり、奏者をじっと待っている。客席も水を打ったように静まり、先生を待っている。酒井君が唾を飲み込む音がした。

















「Bravo!」
 先生の演奏が終わって、真っ先にそう叫び立ち上がった人がいる。一番前の列の席で、どうやら先生の知人のようだ。先生はその声にはっと驚き、それからとても優しい顔をした。白髪なのか、色素の薄い髪が群衆の中で一際目立つ。
 先生はいつも通りの黒のロングドレスだが、スポットライトに当たる姿は光り輝いていた。

 わたしたちも無心に手を叩いていた。何時までも鳴り止まないような拍手が会場を満たしている。
 お辞儀とカーテンコールを繰り返していた先生と、ふと目が合った。先生はわたしを見ながら、左手首を右の人差し指でとんとんと指差す。それからひらひらと手を振った。

「行かなきゃ」
 私はパンフレットをバッグに入れて、興奮の冷めない人びとの合間を抜け出した。
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