pp―the piano players―
 こころがぎゅうっと締め付けられる、そんな気分だった。苦しいけれど、走り出して泣き叫びたい。
「早紀」
 声をかけてくれる酒井君には、やはり焦点は合わせられなくて、溢れそうになるものを堪えるように、早足で駅へ向かう。




 「そうね」とは、あの息は、「とっても素敵だったわ」とどういう意味なんだろう。あの人は、何を思っているんだろう。先生を、どう思っているんだろう。

「酒井君」
 電車の中、わたしの座る座席の前に立つ酒井君を見上げる。
「うん?」
 酒井君は顔を少し動かした。
「この間言ってたよね、認めたら仲良くなるって」
「ああ、」
 言ったね。酒井君は大きく頷いた。
 わたしは疑問でならないことを、その優しい顔にぶつける。

「認めるってどういうこと?」
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