【完】キス、kiss…キス!
花嫁さんの幸せそうな顔、秋斗の見たことないくらい優しい眼差し。……ああ、なんて幸せそうなんだろう。


秋斗は無理矢理結婚させられたみたいなニュアンスの言い方をしていたけど、秋斗が花嫁さんを大切にしているっていうのが表情から伝わって来る。


「案外、マリッジブルー説当たりかもね」


「そうだね、あの狼、めちゃくちゃ幸せそう。全然クソ野郎感滲んでないじゃん」


私とナオちゃんは、顔を見合わせて笑みを零した。


秋斗、ちゃんと、二人で幸せになるんだよ。なんて、あいつと彼女の幸せを、願わずにはいられなかった。


「俺さ、結婚式って初めてなんだけど……女の人ってあんなに幸せそうなんだね」


式中にふと呟いたナオちゃんは、なんだか未知との遭遇をしたような、そんな不思議な表情だった。
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