Sky
「なんっかおかしいわね、美由」



美由が部屋を出るとすぐに、梨衣が腕を組んで難しい顔をしながら言った



「おかしいって、どこが?」



もしかしたら、こいつもさっきの美由の表情に気が付いたんじゃないか?

そう思いながら、俺は尋ねた





「アルバムよ」


「アルバム?」



予想とは違う答えに、俺は少しマヌケな声で繰り返した



「そう!美由って、何かあげるって言っても、それが思い出の詰まった物だったりしたら、絶対に受け取らなかったじゃない?」








そう言われてみれば、確かにそうだ



3年前、引っ越してしまう美由にプレゼントを渡した時も、俺が生まれて初めて自分で作ったプラモデルだけは受け取ってくれなかった



「思い出いっぱいの、大切な物でしょ?受け取れないよ~」って言いながら、少し困ったような笑顔で首を振る美由を、今でもはっきりと覚えている


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