だんだん、悪寒がしてきた。背筋を冷たい汗が流れる。

今は、十時ちょい。起きたのが七時頃。正確にはわからないが、三時間程度で約0.5メートル、壁が縮んだ。

仮に、同じペースで縮むならどうなるか?

時刻    壁(メートル) 
現在(十時)→2.5
十三時   →2
十六時   →1.5
十九時   →1
二十二時  →0.5
二十五時(翌一時)→0

残り十五時間でこの部屋は消滅する。中にいる私は、圧死となる。

…何なんだこの状況は。どこからツッコミを入れればいいのだ?

非現実的すぎて、実感がわかないが。出口のない白い部屋が、少しずつ縮む。一分に1.5ミリ程度ずつ、部屋が狭くなる。落ちる天井、迫る壁。満足に息もできず、やがて自らの肉体を邪魔に感じ出し、胎児のごとく四肢を縮め。身動きもできず、内臓を押される。次第に空間が圧縮し、圧力により少しずつ全身の骨が折られる。究極の閉塞感の中、肉が潰され、最後にグチャグチャの塊となり、押し固められる。濃縮された体液と肉。

…まさかね。

一瞬、よぎる想像を、私はふり払った。馬鹿げている。ただ、この妙な部屋にいると、どんな有り得ないことも、起こりうるような気がしてくるのだ。不気味なリアリティをもって。
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