【戦国恋物語】出会いは突然風のように…
信長さまはぴたりと動きを止めた。


「なんだ?」


わたしは信長さまの揺れる瞳を真っ直ぐ見つめた。


「信長さま、わたし、分かったんです」


「……」


信長さまもわたしの瞳を見つめ返している。


ややして。


「そうか……定めたか……」

と呟いた。


そしてわたしから体を離すと、ごろりと大の字に寝転がった。


「なら、いい。もう行け」


「え?」


「行き場を求めてさ迷うお前と共にありたかった。だが、定まったのなら、いい。お前の好きに生きろ」


瞼を閉じたまま告げる信長さまを、わたしは一抹の寂しさを感じながら見つめていた。


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