その日、僕は神になった
 コンビニの前に着いたのは十七時五分前だった。レジに彼女の姿はなく、四十代と思しき女性がヒマそうに店内を見回していた。彼女は今日休みなのだろうか?だとしたら今までの苦労は何だったのだ…、そう思うと共に、俺は胸を撫で下ろしてもいた。この期に及んで何と情けない男なのだ、俺は自分自身のちっぽけ差に、改めてウンザリした。
 そんな自己嫌悪に陥っていると、レジのおばさんが何か大声を上げていた。その声が聞こえた訳ではないが、その動作から誰かを呼んでいるのだと察しが付いた。その声に反応したのだろう、何かレジのバーコードのような機械を持った彼女がレジの前に姿を現した。そして次の瞬間、胸が大きく高鳴った。彼女は手にしていた機械をおばさんに手渡すと、店の裏に姿を消した。おばさんはバイトの終りの時間を知らせたのだろう。俺は背中に脇、そして掌にジットリと汗を掻いていた。照りつける太陽はすでに傾き始め、それだけが夏の終わりを予感させた。
 再びレジに現れた彼女は私服に着替え、おばさんと一言二言言葉を交わすと、真っ直ぐ自動ドアに向かった。
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