その日、僕は神になった
「あれっ、ブーマンじゃない。今日は来るの遅かったのね」
 俺は顔から火が出そうになった。嬉しかったのだ。彼女は俺が来ることを予想していた、もしくは待ち侘びていたようなコメントに。
「今日はどこかにお出かけでもしてたの?」
 なぜ?その疑問が伝わったのだろうか、彼女は続けた。
「だって今日は髪型がバッチリ決まってるじゃない」
 俺はその一言で勇気が湧いてきた。彼女はそんな些細なことにも気付いてくれた。ゼロでしかなかった可能性が、イチにはなった気がしたのだ。いける、努力は無駄じゃなかった!
「ちょっと出かけていたんだ」
 そっか、そう微笑む彼女に、俺は持っている全ての勇気を、これで一生分の勇気を使い果たしてもいいと思って切り出した。
「ちょっと公園で、話でもしませんか」
 何で敬語なのだ…、彼女は不思議そうな表情を浮かべ、左手首に巻かれた腕時計に視線を落とし、少しだけなら、そう言って頷いてくれた。
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