小悪魔男子
着いたのはちょうど科学室の前。
なんでココにしたのかはわかんないけど。
あたしは歩みを止めて振り向く。
「あのね…昨日の返事なんだけど…その…」
言えッ!! 言うんだ!!!
「ごめん!あたし…和樹とはずっと友達でいたい。
ホント、中学から仲良くて、偶然高校も一緒で…いろいろ良くしてもらったし助けてもらったりもしたよね。
でも、その間に一度でも友達以上に思ったことはなかったの…。
だから…ごめんなさい」
深々と頭を下げた。
告白を断るのなんて初めてで、なんて言ったらいいか分からなかった。
だけど、いざその場に立つと思いが溢れ出てきて 自然に言葉になるんだ。
本当に申し訳なくてなかなか頭を上げられずにいたあたしに和樹は優しい声で「もういいよ」ッて言ってくれた。
その声は 今まで聞いたことのないくらい切なげだったから
とたんに溢れてきた涙のせいで、あたしはやっぱり顔を上げる事が出来なかったんだ。