小悪魔男子
女子たちがざわつき始めた。
「和樹君、来たみたいだよ…」
「挨拶する?」
相変わらずの人気ぶり。
そして彼は爽やかに現れる。
「黒谷クン…お、おはよッ」
「おー。おはよ」
「「「きゃ~~~~~ッ!!!!」」」
失神寸前の女子たちを、困ったような微笑みでかわして自分の席に着いた。
「さな!ほら、早くしないとHR始まっちゃうよ」
真希に促されたあたしは、意を決して和樹の元へ行った。
「か…和樹、おはよ!」
ドキドキドキドキ
トキメキとは違う胸の高鳴りと冷や汗で今にも倒れそうだ。
「おう。…何か用?」
「あのね…ちょっと、いいかな?」
ざわ…ッ。
? クラス中がこっちを向いている。
何だよ、見んな!!ますますドキドキしてきたじゃん!
「…いいよ。行こう」
彼は本当にいつもと変わらない様子であたしに接してきてくれた。
でもさすがに移動する間は無言だったけど。