小悪魔男子



そんな台詞は、勿論心の中でしか言えないけれど。


鬱憤を晴らすかの様にケーキを食べまくってやった。



「さて。そろそろ別の所に行きましょ…

って。

あれ、大和くんじゃない?」



薫ちゃんは廊下を指差す。


ドクン と 胸が縮むような、変な感覚に陥る。


会いたくない



見たくない


けれど体は正直で



反射的に指の示す方を向いてしまった。



見た瞬間から蘇る保健室での あの感触。


何故か小さく震える手で、唇に触れる。



「…なんか、変わったね」


真希は鋭い。



無表情で歩いている姿を見ただけで気付いてしまうんだから。


「さな、大丈夫…?」


真希はきっと別れた相手だから気をつかってそう言ったに違いないけれど


先程のキスを見られていたのかもしれないと、勝手に妄想し、益々胸が苦しくなった。


「別に…あたしにはもう…」


顔を背け "関係ない" と言い掛けた所で


「さなさんッ!!」


と 誰かに声をかけられた。



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