薔薇姫-another story-
悪魔に見えてきたなんて口にしたら、私はどうなってしまうのだろう。
私はため息ひとつ漏らすと、頷いた。
「…わかりました。マレッタ様を見つけたら、どうすればいいんです?」
そう訊ねると、メイ様は笑って、
「好きにしちゃって!」
…と言って、爽やかに去って行った。
何を…言っているんだろうか。
メイ様の意図が全く掴めないまま、とりあえず私は行く宛もなく足を進めた。
三十分ほど歩いただろうか。
マレッタ様は、まだ見つからないまま。
それ以前に、この広大な城を隅から隅まで捜すには、一体どのくらいの時間がかかるのか。
たいした手がかりもなく、私は途方に暮れながらも、ただひたすらにマレッタ様な姿を捜した。
一階の渡り廊下にさしかかった時、風に乗り、甘い香りが鼻に届いた。
私はふと足を止め、眉をひそめた。
…そういえば―――…。