薔薇姫-another story-
「…マレッタ様」
「な、何ですの?」
「逃げないで下さい」
「に、逃げてませんわっ」
…嘘だろう。
私が一歩近づく度、マレッタ様は一歩遠退く。
縮まらない距離。
これでは…きりがない。
どうしたものか、と立ち止まった瞬間。
目の前のマレッタ様の体が、ぐらりと揺れた。
「―――っ!」
足元の小石にでも躓いたのかはわからない。
ただ、気づけば私は手を伸ばしていた。
「…っ、大丈夫ですか?」
私の左手は、しっかりとマレッタ様の右腕を掴んだ。
その腕を引っ張り、右手でマレッタ様の腰に手を添える。
「………!?」
驚いたように私を見るマレッタ様の表情が、次第に赤く染まっていく。
マレッタ様は、何故こうも顔が赤くなりやすいのだろうか。
もしや―――…