薔薇姫-another story-
「マレッタ様が笑ったところを…初めて見たと思ったんです」
途端に、眉間にしわを寄せたマレッタ様。
やはり、言わない方がよかったのか。
「初めて?わたくし、そんなに笑わなかったつもりはありませんわ」
「あ、いえ…」
笑っていたところは、何度も見かけた。
ただそのときは、必ずレオ様とメイ様が一緒で。
私と二人の時は、マレッタ様は笑ってくれたことはなかった。
常に不機嫌な気がした。
だから―――…
「私のことが、嫌いなのかと思っていました」
その言葉に、マレッタ様は目を丸くした。
「わたくしが…ロゼリナータ様を、嫌い?」
「…はい。私といるときは、楽しそうじゃありませんでしたし」
「それはっ、緊張―――」
そこで、マレッタ様はハッとして口元を手で覆った。
「…緊張?」
私が首を傾げると、マレッタ様はぶんぶんと首を横に振った。