薔薇姫-another story-
「違っ―――…」
視線が絡んだ瞬間、マレッタ様の声が途切れた。
そして俯き、更には黙り込んでしまった。
「……マレッタ様?」
遠慮がちに呼びかけると、ゆっくりと持ち上がる瞼。
紫色の双眸には、私の困惑の表情が、はっきりと映し出されていた。
「…違いますわ」
しっかりとしたその口調は、いつものマレッタ様で。
何故か、私は少し安心して頷いた。
「はい。わかって…」
「わかってませんわ!」
声を張り上げられ、私は目を丸くする。
え…何だ?
「…緊張…していないって言いたいのですよね?」
会話の流れからの解釈は、間違っていないはずだった。
…なのに、マレッタ様はキッと私を見上げる。
「緊張?しているに決まってますわ!!」
わなわなと肩を震わせるマレッタ様を見ても、私の疑問は深まるばかり。
先程、思いきり首を横に振っていたのに。