薔薇姫-another story-
「…平然と、話していられるわけがありませんわよ」
マレッタ様は小さく、そのような言葉を呟いた。
その表情は、一瞬曇ったかと思うと、すぐに元に戻った。
「わたくしが否定したのは、その前の言葉ですわ」
「その前…」
私は、記憶を辿る。
『…はい。私といるときは、楽しそうじゃありませんでしたし』
―――違う。
その答えは、緊張していたから、だ。
その前の言葉は―――…
『私のことが、嫌いなのかと思っていました』
私は無意識に、マレッタ様を見つめた。
…もう何度も見てきた、その真っ赤な顔を。
「…嫌いなんかじゃ、ありませんわ」
マレッタ様は視線を逸らし、再び…私を見た。
「わたくしは、ロゼリナータ様が好きなんですの」
風が吹き荒れては、紅涙花が静かに揺れた。