a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
しおりの家は学校からは離れていたので、楡の車で向かうことになった。
しかし、チャイルドシートなどは持って居らず、そのため、慶一は後部座席に乗った本郷の膝の上にちょこんと乗っけていた。
「あ、ガラス直ってる」
「……ん。俺の薄給が消えた」
明衣が運転席側の窓を見て呟けば、無表情で楡が答える。
表情からは伝わりにくいが、少しショックだったらしい。
「もうすぐ、お母さんに会えるんだよ」
五月女は慶一に語り掛けていた。慶一は何やら口をもぐもぐしている。
歯が生え初めて、歯茎が痒いらしい。
「……きっと、幸せになれるから……」
「あーぶー」
何処か寂しそうな五月女に、慶一は唾をブーッと掛けた。これは、その人間に対して懐いてる証拠で、慶一なりのコミュニケーションだった。
──……ふふ……何か、泣きそうだよ……
五月女は目を伏せて涙が零れないように、ニコ、と笑った。