a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜



その時、本郷も部室にやってきて、明衣はちょうど良いと思い、楡が来ないうちに話してしまおうと考えた。


「最近楡の様子がおかしいでしょ? あたし、あの演奏会のあと、知らない男に情報らしき物を受け取る楡を見たんだ。
楡の態度からして、きっと仲の良い友人。多分楡は、あたし達に内緒で、何かの事件を調べてるのよ」

「…明衣ちゃんにしては、頭が冴えてるのね」

「うわ、傷付く〜……」


本郷の言葉に苦笑する明衣。

だが、すぐに真剣な表情に戻り、脱線した話を戻した。


「それで、あたし隠し事されんの大嫌いなんだ。だから、楡が今何をしてるのか、何を調べてるのか…五月女に調べてほしくて」

「俺が!?」 


五月女は大袈裟に声を引っ繰り返した。

明衣は頷いた。


「アンタって機械に強いよね? だから楡にGPS付けるとか、パソコンに侵入するとか、どうにかして欲しいの」

「後半犯罪じゃない?」


五月女の呟きはもっともだが、既に彼は経験者だ。

明衣は頼み込んだ。


「お願い! アンタにしか出来ないんだ!」

「明衣ちゃん…」


いつに無く一生懸命な明衣に、五月女は折れた。







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