a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
雨は酷くなるばかりだ。
走っているため、横に殴り付ける雨が制服や髪に染み込み、体が重くなる。
「…こんな倉庫に……?」
明衣が尋ねると、少年は頷いた。
ドラマなどで不良が溜まっているような倉庫だ。
「…とにかく、中に入って楡をとっちめなきゃ!」
「待って。こんな所に来るくらいなんだもの、きっと危険なことをしてるのよ」
急ぐ明衣に、本郷はその腕を掴みながら制止の言葉を掛けた。
だが、明衣は勢い良く振り向きながらその手を振り払う。
「そんな事言ってられないでしょ!! もし何か有ったらどうすんのよ!」
「先生が何をしてるかもわからないのに、勝手に行動するのは危険だわ!」
本郷が必死に叫ぶ。
普段の彼女からは想像がつかない態度に、五月女も息を呑んだ。
「もし私達に何か有ったら責任を取らされるのは先生なのよ。だから先生も私達に内緒にして、今の今まで、隠そうとしてたんだわ」
「……そうだけど…ッ」
明衣は唇を噛み、黙り込む。
しかし、それでも体は黙っていなかった。
「明衣ちゃん!」
背中から、本郷と五月女の声がしたが、明衣は少年の背中を追い掛けた。