a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
吉成は角材を放り投げると、楡に目線を合わせるようにしゃがみこむ。
「撲殺は傷口とかで凶器が特定しやすいし、血液はどんなに微量でも最近の技術じゃ検出されちゃうんだ。だから、一番手っ取り早くさっさと殺せて、証拠も残りにくいやり方が良いんだけど…」
「……」
だから何だ、とでも言いたげな表情を見せた楡に、吉成は笑った。
「だけど、幸いここは人が滅多に来ない。外は雨だ。証拠なんて、天の恵みが洗い流してくれるだろ?」
ぐらり、楡の視界が歪んだ。
どうやら、寝不足などによる疲労から、思ったよりも出血のダメージが有ったらしい。
ぼんやりとした視界の中に、鈍く光る銀色のナイフが見え、基が思い浮かんだ。
──…結局、助けてあげられないのか…
唇を噛み締め、痛みに耐えようとしたその時、倉庫の入り口から聞き知った声が鼓膜を震わせた。
「楡ェェェッッ!!」
「沚さんッ!!」
井野坂も吉成も焦ったのか、弾かれたように入り口の方に顔を向けた。