a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜


無表情でサラッと恐ろしいことを言われた五月女は唾を飲みながら、猛スピードで走る車の窓を開け、あまりの速さで髪を飛ばされそうになりながらも、何とかそれを投げ付けた。

すると、後ろを走っていた高級車のフロントガラスに当たったそれは、一瞬にして弾け、ガラス一面を真っ赤に染め上げた。

視界が真っ赤に染まった車は突然のことに驚いたのだろう、進行方向を派手に誤り、思い切りガードレールに直撃した。

ガシャン、と派手な音を立て、真っ黒な高級車が大破する。


「うわぁΣΣ!!先生、何ですかあれ!?」

「あー…ペイントボールってヤツ?」


興奮した様子で尋ねる五月女に、楡は疑問系で答える。


「何で疑問系なの?つーか何でそんなもん持ってんの?」


すかさず明衣が質問攻めに近いツッコミを入れるが、この乱暴な運転にすっかり酔っていた。


「まだ追ってくるわ!」


大破した車の後ろから、もう一台同じ車種が追い掛けてくるのを、華は慌てた様子で教えた。


「こっちはただのちっさい車だ…下手したら追い付かれるぞ」


珍しく、僅かに眉間に皺を寄せながら楡は呟いた。





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