a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
切羽詰まったこの状況に、車内は静まり返ってしまった。
タイヤの擦れる音と、開けた窓から入ってくる風の音がやけにうるさく感じる。
「……降ろして」
不意に、麗が口を開いた。楡は忙しなく手を動かしながら応える。
「…何言ってる……?」
「あいつらの狙いはあたしなんでしょ?だったらあたしがこの車から降りて、あいつらのところに行けば済む話じゃない」
麗は頑なに言った。
楡は眼球だけを麗に向け、何も言わずに再び前を向いた。
「早く降ろし「ふざけないでよ!」」
麗の言葉を、一際大きな声が遮った。
麗は思わず口を閉じ、声を発した人物をゆっくりと見つめる。
「……明衣……ちゃん…」
明衣はすっかり酔って、真っ青にした顔を怒りに染めながら、麗を睨み付けていた。
「アンタ…ふっざけた事言ってんじゃないわよ!誰が降りれば逃げ切れる?皆の為に犠牲になるって?漫画の見過ぎよバカ!」
「……だって、そうじゃないと皆……」
「そんなカッコ付けられたって、何も嬉しくないのよ!むしろ迷惑!良い?こういう時は、皆で助かるか皆で死ぬかのどっちかよ!」
そこで言葉を切ると、明衣は「オェッ」と呟いた。