a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
──うわー…カッコ付かねぇ…
その場に居た全員が思ったことだろう。
暫く気持ち悪そうにしていた明衣だが、再び気を取り直して顔を上げた。
「だから、そういう自己犠牲意識は止めた方が良いわよ。大体ね、麗に二億円の価値があるからどうとか、そんなくだらない事は重要じゃない」
「………」
明衣は気に入らなかった。
これはほとんど八つ当りに近い。
今回何も出来なかった自分への苛立ち。
こんな状況でも、荷物にしか成れない自分の存在。
それを、さっきの麗の言葉で思い知らされたから──…
「あたし達が《友達》だって事に、そんなくだらない理由は要らないの!友達だから辛いときも苦しいときも、楽しいときも嬉しいときも、全部一緒!
だから今も、皆で乗り越えなきゃ意味ないのよ」
「……うん……ありがと…ありがと……」
明衣は満足したのかふぅと息を吐いた。
麗は目に涙を浮かべながら、ただそう繰り返した。
「楡!あとどれくらいで市街に入るの!?」
「10分もあれば」
「時間が無い──」
パン!
明衣が考え始めたとき、外で乾いた音がした。
「ヒィ!銃声!?」
「…どうやらタイヤをパンクさせたいらしいな……」
五月女が顔を引きつらせる。
楡はサイドミラーを見ながら呟いた。