a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
時間もないため、向こうも焦っているのだろう。
強行突破するつもりか。
「──そうだ!」
明衣は麗が抱き締めていたゴリラを見て、何かを思いついたのか、彼女がゴリラに餌として買っていたバナナを袋から取り出す。
「皆、これ食べて!」
「え?」
皆は一体バナナで何をするつもりなのだろうと首を傾げるが、麗は顔を僅かに引きつらせた。
「まさか─…」
「そのまさかよ!バナナの皮で、タイヤをスリップさせる大作戦!」
「明衣ちゃーん…無理あるよ〜υ」
得意気に答える明衣に、既にバナナを口に含みながらも泣きだしそうな声を出す五月女。
「でもやってみないと何も変わらないわ。時間もないし、銃撃されてるんだから」
本郷は既に一本食べ終えていた。
五月女は彼女に良いところを見せるためか、一気に三本平らげた。
「…よし、せーので窓から一斉に投げるわよ!」
「オッケー」
明衣は車窓から後ろを見て、タイミングを計る。
そして、意を決したように息を吸った。
「行くよ!せーの!」
窓から黄色いトラップが飛び出した。