a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
バナナの皮は宙を舞い、やがて地面に落ち、黒いアスファルトに黄色の花を咲かせた。
五人で車の揺れに耐えながら胃に流し込んだバナナを包んでいたそれは、後ろからやってくる高級車を待ち受けている。
パリン!
「キャ!」
銃弾が掠め、カーブを曲がった際に運転席側の窓ガラスが粉砕した。
その後ろに座っていた明衣は思わず悲鳴を上げる。
「怪我は?」
「大丈夫……」
楡の言葉に答えながら、明衣は後ろを確認した。
すると、車は見事黄色の花の上で曲がり切れずにスリップし、二、三回転ほどしたあとに、道の脇にあった電柱に衝突した。
甲高いブレーキの音と共に、ガラスが割れる音と、車体が粉砕し、重い金属が潰れるような音が辺りに響く。
「思ったより派手ねぇ…」
「うっわバナナ怖っ!」
本郷が呑気に呟くように言えば、五月女が眼球を飛び出させて叫ぶ。
明衣はその惨状にしばらく茫然としていたが、はっと我に返り、小さな声で言った。
「や……やった……!??」
「明衣ちゃん!私達、逃げ切ったのよ!」
「良かったよぉ〜!」
感極まった華と麗は、狭い車体で飛び跳ねて、そのまま明衣に抱きついた。
やがて緩やかなスピードで市街に入った車は、赤坂宅を目指してゆっくりと、今までの乱暴な運転を反省するように走っていった。