Magic Academy ~禁書に愛された少女~
そんなときだった。入り口の方で、ドアがぎぃっと開く音がした。アッシュとそらは、思わずしゃがんだ。

「なんでしゃがんだの?」

「だって、見つかったら怒られるからな…」

ぼそぼそと話していると、入り口の方から声が聞こえてきた。

「誰なの!?出てきなさい!」

どこかで聞いた覚えのある声だ。アッシュが隣で血の気の引いたような顔をしていた。

「やっば…担任のシネレアの声だわ」

そっと物陰から、入り口の方を見てみると、シネレアの隣には、オリゼが立っていた。

「あぁ…私の担任もいる」

2人して、頭を抱えていると、シークがそらに声をかけてきた。

(どうする?また飛ぶか?)

シークに言われて、そらは悩んだ。自分では飛べない。1人のときなら、シークにお願いできたが、今はアッシュもいる。下手に私が魔法を使ったように見えるのは避けたいのだ。

(でも、私が飛べるなんて変だよ)

そう思ったとき、ポケットの中に、授業中に作製した、魔封じの札が入っていることに気づいた。

(シーク、これってさ、人体に影響は無かったよね?)

聞くと、シークは短く、ああ、と答えた。

(よし、それじゃお願いしてもいいかな?タイミングは、アッシュに合わせて!)

そう言うと、小声でアッシュに話しかけた。

「アッシュ、テレポで逃げよう!」

言うとアッシュは、道具がないから二人でなんて無理だよ!と首をふった。
テレポートは基本的に自分一人にかける魔法で、他人も一緒に飛ばすとなると、魔法具か杖が必要になるからだ。

「大丈夫だって!アッシュならいけるよ!」

そらが必死で説得をする。シネレアとオリゼがもうすぐ近くまでやってきている。

「もぉ!一か八かよ、テレポート!」
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