おいしい紅茶を飲む前に
 柔らかな笑顔だけれど、メレディスが目的のためには手段を選ばない人間であることを、シェリルはすでに承知していた。それだからこそ、フレディは彼に自分を託したのだ。

 だけど。切り崩すところがひとつだけ残されている。真なる目的の為なら、シェリルの頭はものすごい速さで回転する。

有能な執事、メレディスにとっての最優先は、当然。


「だって、このまま帰れるわけないじゃない。いったいなにが起きているのか、あなただって気になっているでしょ? クリスだって中にいるのよ。どうなっちゃってるかわかんないのよ」

 反応は顔には出さない。

そんなことはわかっていたけれど、自分の台詞がどう受け止められたのか、やっぱり不安だった。
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