おいしい紅茶を飲む前に
女の人で良かった。がっしりとしたおじさんにぶつかっていたら、勢いがついていただけに、無事ではすまない。

しかし、ほとんどの衝撃を相手に負わせてしまったという状況も、ある意味無事ではすんでいないような気もする。

「あ、はい。だいじょうぶみたい。あなたは?」

「私はぜんぜん」

「良かった。気をつけてね」


 あまり身長は変わらなかった。それでもその女性の微笑みはは、優しく柔らかいお姉さま風のものだったの。

 いい香りがしたわ。お母様みたいに、花の香り。


そう思ったのと同時に、足元に落ちている本物の花に気付く。
これは。
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