おいしい紅茶を飲む前に
 両方の扉を担当していた男達はどのような動きもとらせてもらえないまま、あっけなく拘束された。

扉を開ける者がいないなんて、どうしてそんなことを考えたのだろう、彼らは。


 扉を開き、息も切らさず相手から体を動かす自由を一瞬にして奪った人間のひとりは、現れる予定のフレディだった。

制服を着た警官に男を引き渡し、一番に入ってきた彼は、静かな息をつく。


 びくりとも動かない、リチャードの左腕。

銃を握りながらも、指一本すら動かすことのできない反逆者。

得意分野とする言葉など使わずに、彼は目だけで行動すべてを封じ込めたのだ。
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