加納欄の想い シリーズ12
 夕日を眺めていた。

 あたしは、3日前に病院のベッドで目が覚め、療養していた。

 記憶は、やっぱり完全には戻っていなかった。

 皆は、いつか戻るだろうから、焦らなくていい。と、言ってはくれたが、遼が、嘘をついてまで、あたしを南署から連れ去ったのだ。

 絶対、何かがあるはずだった。

 ただ、この3日の間は、何も起きてはいないようだった。

 孔明師範も、どこにいるのか、分からずだった。

 あの倉庫が、廃墟となり、全て片付けたが、誰もいなかったとの、報告がはいった。


”1人なら死にませんよ”


 孔明師範の言葉を思い出していた。



大丈夫、あの人は。



簡単に死んだりしない。



逮捕するんだから。



あたしが、逮捕するんだから。



それまでに、もっと武術を上達しないと。



今のままじゃダメだ。



「よぉ、ここにいたのか?」

 大山先輩が、歩いて来た。

「この時間の夕日見るのがすきなんです。日課になりそう」

「いいけど、あんま、無理すんなよ。危なかったんだからよ」

 あたしは、肩をすくめた。

「はぁい。ま、それにしても、孔明師範は、すごいですよ」

「あ?」

「あの状況で、ナイフの勢いを止めて、急所もはずしたんですから」

「ほぉ?だが、どこぞのバカが、さらにブスッと刺したよなぁ。それで、危なくなったんだよなぁ」

「あぁ~。あれは、ちょっと間違えちゃってぇ」

「間違えちゃってぇ、だぁ?下手したら死んでたんだぞ!だいたいなんだよ。あんな目にあわされて、アイツが凄いだぁ?アイツのどこが、凄いんだよ!お前は、反省してるのかっ!」

「ハイッ!じゅうぶん反省してますっ!」

「突然現れたと思ったら、刺されやがって」

「ハイッ!スミマセン!」

「黒龍会にもリンチされやがって」

「ハイッ!スミマセン!」

「孔明にも、誘拐されやがって」

「ハイッ!スミマセン!」

「記憶喪失なんかになりやがって」

「ハイッ!スミマセン!」

「遼に、ついて行きやがって」

「ハイッ!スミマセン!」

「オレの言うこと、聞かねえからだぞ」

「ハイッ!スミマセン!」

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