共鳴り
「こっちの金髪は、レイコんとこ連れて行け。
今頃店に居るだろうし、俺が電話しといてやるよ。」


はい、と国光さんは短く返事を返す。


俺は恐る恐る、清人へと顔を向けるが、嶋さんは事務的に続けた。



「黒髪の方はここに残しときゃあ良い。
あとは俺がする。」


ゾッとした。


それってつまり、俺と清人を引き離すってことやろ?



「…俺ら、どうされるんですか…?」


声が震えたが、俺は問うた。


嶋さんはうるせぇなぁ、と言いながら、すっかり真っ暗になった窓の外へと視線を移す。



「お前らなんか殺したって銭にはならん、って言ったろう?
だから、殺しはしねぇよ。」


「…じゃあっ…」


「飼い殺しだよ、お前らなんかよぉ。」


死ぬことと、生きること。


それってどっちが辛いんやろうって、ずっと考えてた。


昔の俺はオカンが死んだあの日に一緒に消えて、ふたりめの俺もまた、今日、死んだってことやろう。


言葉の意味を考えていると、半ば強引に国光さんに立たされ、おぼつかない足取りのままに連れて行かれる。


清人はそんな俺を、虚ろな瞳で捕えていた。

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