共鳴り
「とりあえず、このガキは当分ここに軟禁だな。
飯は食えないかもだけど、食わなきゃ体力つかないし、無理してでも食え。」


それと、と考えながら、彼は続ける。



「あとは全部レイコさんがわかってると思うから、聞きたいことあればこの人に聞けな?」


「ちょっとちょっと、国光くん!
それってあたしもずっとここに居て、この子の世話をするってこと?!」


目を丸くしたレイコさんは、そんなの嫌よとばかりに反論した。


が、やっぱり彼は笑い顔のまま。



「レイコさんの分の飯も届けさせるよ。
あと、レイコさんは出入りは自由だし?」


まぁ、コイツはこのドアから出させないけど。


そう言った国光さんに、彼女は「当然よ。」と言いながらも、すんごく不服そうな顔をしたまま。


窓なんてないし、ドアはひとつのありふれた風俗店の一室や。


この女の人の隙をついたとしても、逃げ出せるなんて思えなかった。



「おう、銀二!
お前、妙な真似してみろ、今度こそ死ぬぞ?」


それは多分、レイコさんに対しても、ということだろう。


それまでへらへらとしていたはずの国光さんは歪んだ顔ですごんできて、俺は思わず身を固めた。



「つーことで俺は一足お先に帰らせてもらうけど、文句なら俺じゃなくて嶋さんに言ってね?」


最後まで掴みどころのないまま、彼はまた元の笑顔に戻り、手をヒラヒラとさせてさっさときびすを返し、部屋を後にした。


レイコさんは腕を組んで俺を見つめながら、少し途方に暮れたように長くため息を吐き出す。



「馬鹿な子ね。」

< 59 / 339 >

この作品をシェア

pagetop